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3.見出しの果たす役割
『見出し』は、上記2.のように、条文の検索上の便宜等を図るため、条文の内容を簡潔にまとめて表現したものに過ぎないので、それ自身が法規的な役割を果たすものではないとされている。
しかし、『見出し』の書き方が、その見出しがつけられている条項を解釈するうえで、一つの手掛かりを提供しうるものであると考えられる場合のあることも認められているようである。
ところで、本条においては、『本「協定書」の見出しおよび小見出しは、それぞれの条項またはその下位項目の一部として解釈するものとする。』旨を規定し、本協定書の各条項の解釈に際しては、「見出しおよび小見出し」を、その手掛かりとするものとするとの立場(慣例的な解釈のルールをとる立場)を明らかにしている。
しかし、本協定書の各条項につけられている「見出しおよび小見出し」のすべての場合について、上記のように条項の解釈の手掛かりとすることが適切でないときのあることをも考慮し、本条の注釈書では、『…当事者は、必要に応じて、この見出しを「協定書」の一部として解釈することから外すこともできる(exclude the headings from being read as part of the Agreement)。』旨を付言している。

 

4.諸外国の櫨定書の規定
諸外国の協定書についてみると、「見出し」に関しては、次のような規定例が見受けられる。

 

カナダの協定書
1.02見出し
本協定書は幾つかの条項よりなっており、それぞれに見出しが付いているが、これは、あくまでも参照の便宜を図るためのものであり、本協定書の構成または
解釈に影響しないものとする。用語「本協定(書)」、「本協定(書)の」、「本協定(書)にもとづく」、その他類似の文言は、本協定の補足的合意を含めて、本協定の全体を指すものであり、本協定書の特定の条項、その他の部分を指ものではない。主題または文脈からみて矛盾が生じない限り、本協定書において条項を参照する場合は、本協定書の条項を指すものとする。

 

 

 

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